アシ最終日
漫画家志望仲間に助けられながら、
一方で現状を冷静に諭された。
そのアシは辞めたほうがいいですよ、
それはブラックだから、と。
驚いたけど…
とりあえずまとめると。
まず雇用状態が法的に黒。
実は、どこの誰かも分からない人物でも、
スタッフとして入所することができる。
確かに私も、履歴書など出さなかった。
口頭で簡単に作画レベルについて聞かれ、
ラインでこれまでの作品や背景画を送信。
そのまま、ラインの連絡のみで入所を許可された。
(イマドキはそうなのか〜と思ってた笑)
そして、入った人は当面、無償で製作をやることになる。
この製作をするために、月額二千円ほどのランニングコストもかかるのだが、
永久にそれは私の自腹である。
漫画仲間いわく、
このランニングコストを、もし事務所側が提供したらベストだし、
制作についても練習作品なら別に問題はない。
しかし、すでに料金が発生している〈商用作品の製作〉にノーギャラで携わらせている点がまずい。
要は、タダ働きさせられちゃってるのである。
(オーナー的にはこれは個人事務所であり、一人も雇ってるつもりはなく“SNS友達”に手伝ってもらってる感覚の様子だったので、こうなってしまうんだと思う。)
新人さんや若い人はみんな、
自分は下手で、出来ないから当然!
むしろプロの原稿に関われるなんて有り難いと、喜んで製作依頼を受けてしまうのだ。
(すいません、受けました 笑)
それ自体がこの業界を低迷させている原因らしい。
また情報の管理体制も甘くて、
下手したらデータ損失を防ぎきれず、大手出版社から損害賠償請求もありえる。
(初日のミスがこれに近い。あの日、数年ぶりに青ざめたものだった。
しかしこの数日話を聞いていると
つい先日、私の起こした事よりもっと揉めた事があったらしい。おかげで私のミスが霞んだ…)
それに、オーナーのみならずスタッフ同士も見ず知らずの関係で、
新作漫画のデータの情報漏洩も簡単にさせちゃえるノンセキュリティ空間。(確かに見放題だった 笑)
防げる事故を防ごうとしていない体制がまずい。
ということだった。
オーナーの技術が高いのは分かる。
しかし、サキさんが本当にここでやらなければならないか、考え直しても良いのでは?と話して聞かせてくれた。
サキさんはやる気もあるから、そのエネルギーがかえって頑張りすぎの方向にいって、自分を潰してしまうよと。
倒れたら本末転倒、血反吐を吐いていいのは漫画の中だけよと(笑)
仲間たちに諭され、ここで冷静に考え始めた。
多くのクリエイター育成環境において、
新人たちはロクに教えても貰えず
下手したらメンタルを壊し、使い捨てとなるらしい。(この事務所のことを言ってるわけではなく、全体的に、結果的に。)
今はもう、職人の所に弟子入りしてタダ働きだが技術と精神を学ぶ【昭和の下積み】は終わり(ちょっと憧れてたけど…)、
今はきちんとした契約がなければ仕事は成立させちゃいけないし、お金を払って教えを請うスタイルに変わってきている。
というか、そうしないと
職人集団は低迷していくのだそうだ。
どんどん海外に技術が流れている。
アニメをつければ、スタッフロールには外国人アニメーターの名前ばかり。
漫画も韓国が追い上げてきている。
ライン漫画を探ると、半分はあっちのだ。
中国も、日本からの漫画指導者をチヤホヤ扱いしてくれる。
もしこのレベルの私が行っても、すでに相当稼げるそうなのだ。
漫画やアニメを、日本の無形文化財として、もっと本気で守り保護しないと、まずい状態になってきているんだなと思う。
さて、そんなことを色々と考えている間、
仲間に助けてもらい提出した作画、
やり直しになった(笑)
これには仲間も苦笑い。
これは指示がちょっと雑すぎるのでは?!と
現場だともっとちゃんと説明させるよ。これじゃあやり直しが多くなるの、当たり前じゃないかと。
何度も仲間に助けられながら
もうこれでいいですかってくらいに直し続ける。
(なんとここからあと三回直すことになる)
流石に我が家では子供が癇癪モードになりそうだったので、あづちゃんにも助けを求める。
あづちゃんがうちの子と通話をつなぎ、
一緒にオンラインゲームをしながら、
荒ぶる小学生の気をそらしてくれたのである。
おかげで やっと完成。提出…m(_ _;)m
(結果これもだめになるけどね)
あづちゃん親子に感謝。。
そう今、世間は夏休みなのである。
うちの子は、もうずっと
朝から晩までの間、一人で10時間、
テレビやYou Tubeを見ていた。
もちろん、私はすぐそばで作業してて、反応したり、時折頭をなでてやり、顔を見たくなり目も合わせてお互いニコリとして。
間でランチ、ピアノ、進研ゼミ、おやつ、夕飯したりしたけど。。
私の漫画のために割と放置される7歳。
この5日は特に、
私自身カリカリしていたし、
目つきも戦闘モードで、
「ごめん、今ちょっとすごいややこしい所描いてるから話しかけないで!」を子供に連発した。
やっと終わって、ほっと一息ついたとき
「かあか、ぎゅーってする?(=抱きしめて)」と子供に言われた時に、
ついに決意して退所を申し出た。
初めはみんなそうだぞ、
ここで辞めて後悔はないのかと
引き止められたが
円満に退所した。(今頃あいつはだめだったってボロクソ言われてるかもなぁ…m(_ _;)m)
この事務所のオーナーさんが悪いわけではなく、
この方自身非常に漫画製作に熱い人だし、職人タイプだからアレコレ管理に気が回るわけでもないのも分かる。
さらに、タダ働きさせてやるーなんて悪意があるわけでもなく。(でも法的にはまずいらしいから、まさか誰かに何か言われる前に、早く体制を整えてあげたほうがオーナーさんのためにもいいのではと心配…)
現実問題、スタッフにお金を払ってあげたくても、そもそもそんな原稿料を出版社からもらえてない(駆け出しのプロ作家で一枚五千円〜。そこからアシ代を捻出)。
そんな中、こんな「何もかけませーん」の主婦を出入りさせてくれた事に本当に感謝です。
この一週間、迷惑かけたな、結果的に仕上げることもできないまま終わってしまい、
申し訳ないなとも思います。
(申し訳ないなんて思わなくていい、こうなるのは当然なんだと、仲間は言ってくれましたが。。)
しかし、この一週間は本当に濃厚だったから、
色々と学んだことをノートにまとめて、
このままパース勉強もして、これから週に一個は、背景画も続けていこうと思います。
ブログ見に来てきてくださった、
いつものみなさん。
話聞いてくださって、ありがとうですm(_ _)m